ぴーすけとジャニ。

妄想?…いやいや想像力が豊かなんです。

TRIP of NEVERLAND②

眠りから覚めるとkatoがやってきた。目的地に着いたらしい。

「おはようございます。最初の目的地に着きました。」

列車から降りるとkatoが単調なリズムで説明を始めた。

「ここはNorthゲート。主なエレメントは光。ここからは私が案内します。」

目の前には真っ白な世界が広がっていた。建物も、地面も、どこもかしこも真っ白。唯一所々に紫色のあやめが咲いていた。白い世界が紫を引き立てている。日の光が黄金色に輝いて見えるのはそのせいだろう。

「まずはお祈りをしに行きましょう。ここNEVERLANDの神様に。」

といって連れてこられたのは塔の最上階にある小さな小屋。外の眩しさが信じられないほどの暗闇がそこにはあった。見えるのはかすかに光る星のような儚い光がキラキラと散っているだけ。

「ここは最も明るい場所なのです。」「え?」

「さあ、あなたの本当の願いはなんですか」

                    ー私の本当の願いー

それがパッと浮かぶ人などいるのだろうか。

「ここではNEVERLANDを訪れたたくさんの人が祈りを捧げてきました。ここの星はその多くの希望そのものです。そう、希望こそが光なのです。」

私にはこんなに輝く願いなんてあるのだろうか…本当の願いってなんだろう。

「今、本当の願いが分からなくても大丈夫。いつか本当の願いが分かったとき、願えばここに星が増えます。」

とまた心を見透かされたように言われた。いつの間にか星の部屋は暗闇という印象から星の輝く綺麗な場所に思えていた。

「あぁ、今日は珍しい。見てください。」

微笑むkatoが指す先には大きな虹がかかっていた。なにかいいことがありそうな気がして、心は少し軽やかになった。

「さあ、次に行きましょう。列車に乗ってください。次の目的地にはすぐに着きますよ。」

katoに促されるように神秘的なエリア、Northゲートを後にした。

 

*******

列車に乗って少し経った頃Koyamaがやってきた。

「次の目的地に着きましたよ。」

外に出るとNorthゲートとは違って緑が青々と輝き、水の流れる音が聞こえる。

「ここはEastゲート。主なエレメントは水。ここは僕が案内するよ。」

街中には河川が行き交っており、ゴンドラでの移動が中心となるらしい。ゴンドラに乗り込むと、エンジン音がし動き出した。自然に囲まれた街にエンジン音は少し違和感だった。でも、顔に当たる風は涼しくて心地よく、水の流れる音は私にやすらぎを与えてくれた。そして、時間が経てば違和感も消えてしまった。

「さて、ここで少し過去と向き合いましょう。聞かせてください、あなたの過去を。ここに来た理由が分かるかもしれません。」

とKoyamaが声をかけてきた。

「私の過去…ここにくる理由…」

 

********

8月、前期の授業が終わるころにはもうほとんどの人が就活を終わらせている。私はまだ内定を1つももらっていなかった…というより、働こうと思っていなかった。夢を追いかけたかった。私の夢はダンサーになること。周りの人は『活躍できるか分からない』『いつまで親に甘えるつもりなの?』と反対されていた。実際、私自身もそう思っていた。オーディションにもろくに受からない私が夢を追いかけてどうなるのか。将来が見えなかった。そんなとき、路地からあの金属音が聞こえたのだ。

*******

 

私がすべてを話終えたとき、Koyamaは優しく微笑んでくれた。

「よく頑張りました。先に進みましょう。」

私がここに来た理由はまだ分からなかった。辛い現実を思い出しただけで胸が苦しくなる。でも心なしか少し気持ちが楽になった気がする。

「さあ、着きました」

目の前には男が膝をつき、天に祈るポーズをした石像があった。

「これは『ORIHIME』という銅像です。NEVERLANDに伝わる神話がもとになって作られました。今からその神話を少し話させてもらいますね。」

そう言ってKoyamaは神話を話はじめた。

『この男、名前を翔(カケル)といいます。翔が真夜中に川辺を歩いていると、対岸にそれは綺麗な女性を見つけました。一目見ただけで翔は恋に落ちました。それほど素敵な女性だったのです。翔は勇気を振り絞り声をかけました。そこから女性と仲良くなり、相思相愛の仲になりました。女性の名前は姫といいます。しかし、それ以外のこと、年齢やどこに住んでいるのか、なにも教えてはくれませんでした。それでも翔は彼女のことが好きでした。翔と姫は週に1度この川辺で逢いましょうと約束しました。その時間だけがやすらぎの時間でした。月日が経ち、ある夏のこと。翔はいつものように川辺に行きましたが、姫の姿は見えません。翔はずっと待ちましたが、いつになっても姫は現れませんでした。それ以来、姫は姿を消しました。それでも翔は約束通り、毎週川辺に向かいました。そして時々空に向かって〈もういいかい〉と言っていたそうです。いつか〈もういいよ〉と返ってくることを信じて。』

「それで?翔と姫はどうなったの?」

「それは分かりません。でも信じていれば叶うと私は信じています。」

私はもう一度銅像を見上げた。他人事とは思えなかった。自分だけではどうにもできないことに、ひたすら耐えることは辛い。でも、翔は幸せになったような気がした。こういう話はハッピーエンドじゃないとね。

「長々と話してしまいましたね。さあ、次の目的地へ向かおうか。」

Koyamaと列車に乗り込み、Eastゲートを後にした。列車に乗るとKoyamaが思い出したように言った。

「そういえば、NEVERLANDは7つのエレメントでできているって言ったよね。その7つのエレメントは『心を熱くさせる《炎》、やすらぎを与える《水》、希望を持たせてくれる《光》、気分を高揚させる《踊》、自分の存在を思い出させてくれる《音》、世の中に不可能がないと教えてくれる《魔》、我々が生きていくために絶対必要な《愛》』これからのNEVERLANDの旅で探してみてね。」

と教えてくれた。この旅で見つかるといいなと思いながら席に戻った。